明日







僕達は明日へと運ばれていく。






僕達は小舟に浮かんで、
時間の川に流れている。
小舟は留まりたくても進んでいく。






笹から作られた小舟は、
星を手にする、白く嫋やかなその手の平で、
宇宙の果てに生育している、
天の白と黒に彩られた聖獣が好む翠の笹を抜き取って、
神様が一人一人に作ってくれた。






新し物好きな僕達は早くそれに乗りたくて、
欲求知らずの寛大な神様を急かしている。

『どうしてそんなに急かすんだい?』






小石拾いは、
鬱滞とした行き詰まりのある沼池ではもどかしい。
口いっぱしの僕達は実にへこたれ飽きやすいから、
喜悦の飛沫を、
憂愁の淀みを、
叫喚の急流を、
愛惜の泡沫を、
神様はこっそりと作ってくれた。






何もかも忘れて楽しむ僕達は試行錯誤でしか拾えない。
肝試しに腕試し、
度胸試しに運試し。






だけど、
必ず帰って来られる様に、
必ず前に進めるようにと、
神様は流れを作って浮かべてくれた。
決して沈まない小舟がぷかり。






負けず嫌いな僕達はついつい競争してしまいがち。
欲張り過ぎてついつい焦心してしまいがち。
何も手にする事が出来なくても、
神様は僕達の帰りを待ち望んでいる。

『神様に土産話を持ち帰ろう。』






僕達は明日へと運ばれていく。





~ふりがな~

嫋やか→たお-やか
翠→みどり
鬱滞→うったい
喜悦→きえつ
飛沫→ひまつ
憂愁→ゆうしゅう
淀み→よど-み
叫喚→きょうかん
愛惜→あいせき
泡沫→うたかた

~1つの遊び方~







想像してください。

『流れの先には何があるでしょう?』





HP公開   2019/5/31

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